転職後「事前に聞いてた話と違う」という話は人材業界にいると、残念ながらよく聞く話です。
たった数回の面接で採用、不採用を決める転職活動において、すべてを理解して転職することは現実的には不可能な話だとも言えますが、できるだけ「話が違う」とならないように事前に知識を持っておくことが重要です。
今回の記事では、日々多くの転職者と面談をしており、多くの企業の採用をお手伝いをしている私が、「話が違う」にならないための人材業界裏話を紹介したいと思います。
転職活動中の方、これから転職活動を始める方の参考になれば幸いです。
目次
転職後の「話が違う」どんな理由が多いの?
最初に、実際の転職者が感じる話が違った理由について見ていきましょう。
こちらの図は実際に転職者が転職後にギャップに感じたことの上位5位までのグラフです。
一番多いのが、風土や社風についてです。
やはり、人事の人間もしくは経営者にしか会わない転職活動において風土や社風までは理解しきることができないということでしょう。
続いて、昇給についてです。
求人票には年収500万円と書いてあったのに、全然そこまでもらえない!というようなことはありがちです。
当たり前のことですが、転職サイトなどに書かれている給与例というのは、最大値であり、トップの人間の給与例が書かれているものです。
つまり、給与例についてはあくまで参考程度にとどめておくことが重要ではないでしょうか。
意外なギャップですが、教育体制が整備されていないというのも多いです。
大手の企業であれば新卒、中途問わず、十分な教育費を割くことができるでしょう。
しかし、本質的に中途採用をする理由を考えると新卒入社の時のような教育体制というのは期待できないというのはお分かりになるのではないでしょうか。
中途採用において、教育に過度な期待をするのはある意味、ナンセンスということもできます。
では続いて転職の動機についても念のため見ていきましょう。
転職をした理由では給与、会社の将来性、風土、仕事内容、人間関係がベスト5です。
ここで注目していただきたいのが教育制度です。
転職時には給与や人間関係など悩みを軸にスタートしているため、教育制度などを軸に転職活動を行う方は少ないです。
したがって、給与、会社の考え方を理解する努力と同時に教育制度に着目して、企業側に質問をすることが転職後「話が違う」とならないためには重要なポイントになるのかもしれません。
そもそも転職エージェント、転職サイトの情報は100%正しい?
ここからは、今回の本題である人材業界の裏話について紹介したいと思います。
最初の裏話としては転職エージェント、転職サイトの情報は古い可能性があるということです。
私もサラリーマン時代は求人広告なども取り扱っていました。
求人広告は世の中のほとんどの企業が使うものですし、リクルートやエン、マイナビなどの大手企業の広告はほとんどの企業が過去に一度くらいは使ったことがあるはずです。
求人広告の依頼を受けた時、求人広告の営業は最初に募集職種の確認をします。
そして過去原稿を流用して制作するか、1から新規原稿として制作するかを考えます。
実はここが情報の新鮮さを分けるポイントになるのです。
求人広告は企業側も手間をかけず、昔の原稿が使えるのであれば
「前求人した時の原稿ある?それと内容同じでいいんだけど?」
と発注してくることがほとんどです。
そして、営業担当からしても、1から原稿を作るより、前使った原稿を使い回すことができれば、作業を減らすことができるため、
「では、前の原稿を送るんで内容確認してください」
と言って、過去原稿をお客様に送付します。
そして、お客様が確認して
「これでいいよー」
というと、多少修正はしますが大抵の場合そのまま掲載します。
ということは求人広告は常に最新のものというわけではなく、100%正しい情報かどうかと言われればわからないということになってしまうのです。
求人広告の営業をしていた当時、間違った情報にならないように私自身、非常に気をつけて広告を作っていましたし、会社としても様々なルールを設けて間違いが起こらないように対策をしていました。
しかし、打ち合わせの中でお客様に「給与は月給30万円で」と言われた時に、実際にその金額を支払うかどうかを確認する術はなく、100%正しい情報のみを掲載していたかと言われれば、今でもわかりません。
つまり、一つ目の裏話はそもそも転職エージェントや転職サイトの情報が100%正しいかどうかはわからないということです。
条件は常に変わる?
続いての裏話は条件は常に変わる可能性があるという話です。
例えば、初めて求人をかける企業様はどんな条件にしたら、どれくらいの応募があるのかわからないものです。
そのため、
「月給20万だったら応募こないよなー、やっぱり25万円くらい払わないとダメだろうなー」
と色々と悩みながら求人を依頼してきます。
もちろん、給与に関しては高いに越したことはありませんので営業担当も
「25万円払えるなら25万円で求人広告作りましょう!」と提案をします。
そして、実際に広告の掲載をスタートしたところ、予想以上に応募が殺到すれば
「25万円は出しすぎたなー、今から23万円に変えちゃお」
ということもありえない話ではありません。
一部の求人広告は、掲載中でも自由に条件の変更ができるものもあります。
しかし、大手の転職サイトでは2週間、1ヶ月、3ヶ月などのプランで掲載していただいており、途中で原稿内容を変更することができません。
つまり、掲載後に企業様の方で条件が変わった場合、変更前の条件で掲載が続くことになるのです。
求人広告を作るのは制作担当者?
最後の裏話です。
求人広告って誰が作っているか知っていますか?
求人広告ができるまでの流れとしては、
- 担当営業が企業と打ち合わせを行う
- 打ち合わせのメモを制作会社にファクスやメール、電話などで発注する
- パートナーである別会社の制作担当者がメモをもとに求人広告を制作する
- 担当営業に完成した原稿を納品する
- お客様に原稿を送り確認をしていただく
一般的にはこのような流れで求人広告は作られています。
もちろん、企業によっては原稿の制作担当を自社で抱えている場合もありますが、大手人材企業のほとんどは外部の企業に委託しています。
つまり、実際に原稿を作る担当者はどんな会社か見たこともなければ、お客様と喋ったこともありません。
これでは、お客様の風土や社風など正確に伝える原稿を作ることはできないですよね。
転職後に聞いてた「話が違う」と感じる理由が風土、社風というのは、この辺りが原因かもしれませんね。
余談ですが、制作担当者の中には、素晴らしい技術を持った方が一部おり、いわゆるブラック企業でも素晴らしい企業のように見せることができますw
もちろん、求人の依頼を下さるお客様にとっては嬉しいことかもしれませんが、応募者にとっては良い迷惑ですよね。w
情報を確かめるのはあくまでも自分の責任?
人材業界の裏話を3つお伝えしてきました。
ただ、人材業界を恨んでも仕方ありません。やはり、重要なことは自分が転職する会社の情報は自分の責任で確認するということではないでしょうか。
冒頭で、入社前と入社後のギャップについて紹介しましたが、ポイントを把握し、面接や転職エージェントに質問することによって「話が違う」というリスクは限りなく0に近づけることができます。
私は多くの面接の場に同席しますが、何か質問ありますか?と聞いても、あまり質問が出てくることはありません。あったとしても一つか二つ程度です。
転職後のギャップを参考にしていただいて、自分なりに確認しなければいけないことを面接前、転職エージェントとの面談前にしっかり準備し、不安要素は全てクリアにしてから入社できるように努力することが重要です。
人生を左右する転職先選び!ポイントを押さえて慎重に進めよう!
今回の記事では「話が違う」とならないための、転職業界の裏話について紹介しました。
この記事をお読みいただいた方の中には「もっと人材業界頑張れよ!」と思った方もいると思いますが、やはり、お金を払うのが、企業様である以上、今の構図は今後も大きく変わることはないでしょう。
したがって、転職を経験した先輩がどんなことにギャップを感じているかを把握し、面接、転職エージェントなどに質問をすることによって「話が違う」とならないように準備をすることが重要なのではないでしょうか。
今回の記事を参考にしていただいて、ぜひ、満足のいく転職活動を実現していただきたいと思います。